長引く不況と体調不良に身も心も打ちひしがれる思いで
仕事がなくこれから先、家族はどうなっていくのかと
不安な日々を過ごして居りました。
そんなある日、大切な壮年の仲間が悩み苦しんで居る姿が
僕の心の奥深くに飛び込んできました。
ドライバーのＡさんは、夜勤明けに一時の休みも取らず
岡山県の離れ島に住む、お兄さんの所に疲れきった体に
鞭を打ってハンドルを握り、走っていました。
お兄さんは足腰が自由にならず、身の周りの事が出来ません。
Ａさんはお兄さんを連れて本土の病院に行ったり
生活出来る様に、缶詰や加工食品、日用品等を買い揃え
そしてしばらくお兄さんの心を聞いてあげると
その足で車を走らせ、尼崎に帰ります。
わずかな仮眠をとって又仕事に出掛けるという
普通ではとても考えられない苦労が、長い間続いていたようです。
さすがにＡさんは体力の限界がきて、とうとう仕事を
辞めてしまいました。そんなおり、教会長さんの法座があるからと
支部長さんに声を掛けて頂きました。
電話の向こうから聞こえる支部長さんの一言一言には
早くＡさんに幸せになってほしいと願う心がビンビン伝わって来ます。
8月19日の前日は雷と大雨で高校野球が一時中止になるほどの
天気だったのが、法座当日は天気までが僕達を励ますように
素晴らしい晴天に恵まれ、慈悲に満ちた仏さまが
僕達を迎え入れてくださいました。
法座の中でＡさんの事情を話し、Ａさんがこれから先
どんな心でお兄さんと関わっていけば良いか
そして僕に何が出来るのかと、質問させて頂きました。
教会長さんは、もらす事なく全部を聞いて下さいました。
そして先ず『お兄さんがどんな事を望んでいるのか
どうなりたいかをハッキリ見窮めると同時に、お兄さんに今
何が一番必要なのかを考え、自分を整えつつ介助し
介助しつつお兄さんの自立を促してゆく事が大切です。
遠く離れていて出来ない事は、仏さまにおまかせして念じていく
又、仏さまに守って頂くために徳を積んでいくしかないとおっしゃいました。
お兄さんのおかげで、お兄さんを拝んでいく事が出来て有難いですね。』と
とてもわかりやすく、有難いご指導を頂く事が出来ました。
Ａさん本人も、随分肩の荷が下りたようで
笑顔が戻ってきました。今まで何もかも一人で悩みをかぶり
苦しんでいたＡさんが、仏さまの智恵を頂き
心新たに力強く生きていく事と思います。
今この時代、日本国内外において数え切れないほど
不幸なニュースがある中、いつも信じ合える仲間が居て
困った時はいつでも人生の指導が頂ける。
そしてどんな困難の中も、強く明るく生きて行ける
幸せを一人でも多くの方に伝えたい。
『この教えは最悪の状態を最善に生きる教え』と聞かせて頂きました。
僕にとって幸せとは
都合の良い、心地良い状態こそが本当の幸せだと
思い続けて居りました。ところがその幸せは縁によって
いつでも変化する、安定しない一時的なものでしかなかったのです。
不動の幸せを目指し、共に精進させて頂きたいと思います。
最後に、教会長さんの笑顔の向こうにある
大きな慈悲の眼差しに、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
西 康雄