このことわざには、それほど賢い人でなくても3人が集まって相談し、お互いの知恵を出し合えば何とかいい知恵が浮かんでくるという意味があります。ここでいう文殊とは、智慧を司る文殊菩薩のことで、「文殊の智慧」とは、文殊菩薩のようにすぐれた智慧、よい考え、よい思いつきということです。文殊菩薩は『法華経』の中でも重要な役割を持ち、いわば私たちが目標とする菩薩ですが、たとえ文殊菩薩ほどにはなれなくても、周囲の人と話し合い、協力し合って物事に当たれば、それなりの智慧が出てくるものです。協力の大切さを教えたことわざといえるでしょう。

佼成出版社「The Yakushin」1993年2月号・暮らしの中の仏教より