この言葉は、余寒も春の彼岸までにはおさまり、残暑も秋の彼岸までにはおさまる、という意味があります。お彼岸というとお墓参りと結びつけてしまうかもしれませんが、“彼岸”という言葉はもともと仏教語なのです。彼岸とは梵語の「パーラ」の漢訳で、水を隔てた向こう岸、彼の岸という意味があります。仏教では私たちの住んでいる迷える世界を此岸といい、煩悩が消滅した迷いのない悟りの世界を彼岸といいました。お彼岸には、子孫である私たちが無事に生かされていることをご先祖様に感謝し、世の中が理想の平和境になるように努力精進することをお誓いしたいものです。

佼成出版社「The Yakushin」1993年2月号・暮らしの中の仏教より